Webサイトの評価には、アクセス数などの客観的な指標だけでなく「実際にWebサイトを訪れたユーザーがどのように感じるのか」という主観的な評価も重要です。この資料では、製造業専門Webマーケティングコンサルタントの視点から、各企業のWebサイトを主観的に評価しコメントしています。業界内では得ることが難しい第三者の意見として、Webサイトの改善にお役立ていただければ幸いです。
診断日:2019年8月
AGCポリマー建材株式会社
診断URL:http://milcrete.jp/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。ユーザーの悩みに寄り添ったコンテンツを用意しており個人的に好きなホームページです。
自社製品のアピールからではなく「ユーザーが何に困っているのか?」を起点にコンテンツを組み立てています。製品アピール=メーカー目線、困りごとへの対応=ユーザー目線です。塗床材は製品PR主体のホームページが多いので異彩を放っています。トップページのメインビジュアルのキャッチコピーも”床の傷みに悩まされていませんか?”⇒ ”重要な建物の床を守る。ミルクリート®がサポートします。”とユーザーの困りごとを受け止め解決策として自社製品を紹介できています。ユーザー目線でコンテンツを組み立てているのでユーザーもストレスなく解決策を検討できます。これは簡単なようでなかなか出来ないこと。気になったことを強いて言うなら、モバイル対応していないことです。床のトラブルに困った人の中には現場からWebサイトにアクセスする人もいるのではないでしょうか?アクセス解析をして、モバイル経由で閲覧している人の比率を見ておくことをお勧めします。
富士丸化学工業株式会社
診断URL:http://www.fujimaru.com/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。2014年12月にWebサイトリニューアルをしてから更新ができていません。
5年近く更新されずComing soonのままの部分があるのに公開されており・・・とても印象を悪くしています。それ以外はコンテンツもしっかり作りこまれており、きれいなデザインで欲しい情報がすぐ見つかるだけに、余計にもったいないです。技術力があり「現地調査」⇒「施工」⇒「メンテナンスとソリューション提案」を行なう、というウリをさらに生かすためのコンテンツである【施工事例】がComing soonのままなのです。完全に企画倒れだと思います。Webサイトリニューアルは実現性や継続性も加味して行なう必要があります。【塗り床材を探す】もわかりやすく目的や特長から製品を探すことができ、【FUJIMARUの工法】もわかりやすいだけに、本当にもったいないことをしています。Webサイトの公開やリニューアルはゴールではなくスタート。公開後の運営が最も重要です。もしかしたらWeb担当がいないのかもしれません。Webサイトを健全に運営できる体制づくりが先決ではないでしょうか。
株式会社キューケン
診断URL:http://www.kyuken.com/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。バランスのとれたコンテンツで目的に合った商品が探しやすかったです。
製品知識がない人でも【業種別から塗床材を探す】から無理なく自分に合った商品を見つけることができます。また【商品を探す】では、型番だけでなくそれぞれの製品の特長を一言で表現できておりユーザーの製品選択に役立っています。ほんの少しの気配りでWebサイトの使い勝手が大きく変わる好例です。ピュアクリートの特長が簡潔にまとめられていることも良い点です。そして【導入事例】から【施工の流れ】とスムーズに情報を得ることもできます。満足度の高いWebサイトですが、ユーザーが行動を起こすための後押しを考えても良いかもしれません。導入前のテスト施工も行なっているようですが、あと少しで見逃すところでした。よく見ないと見つけることが出来ないのではないでしょうか。もっとアピールして多くの人に知ってもらっても良いと思います。このほかにも多様な営業フックを考えることをお勧めします。床の困りごとの解決策をまとめたホワイトペーパーや現地調査の募集、見積依頼、無料床診断、事例見学会などを導入することでさらにビジネスに効くWebサイトになると思います。
ペトロケミカルス株式会社
診断URL:http://www.petro-c.co.jp
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。すっきりとコンテンツの整理整頓ができており、比較的ストレスなく閲覧できました。
しかし、2016年7月から更新が止まったままです。良くない印象を持つ人もいるので更新はしっかりと行ないましょう。【製品情報】も少し気になりました。自分に合った製品を選びにくかったのです。確かにすべての文章を丁寧に読み、各製品ページを読み比べれば自分に合ったものが選べるかもしれません。しかし、Webユーザーはページを閉じるかどうかの判断を瞬時に行なっています。そして3分以内にはWebサイトを出ていくことが多いのです。そう考えると、型番でしか判断がつかない製品一覧は一部の人にしか使いこなせないでしょう。その反面、わかりやすかったのがTOPページのバナーです。「『ふくれ』でお困りの方」「『油下地』でお困りの方」というキャッチコピーはとてもわかりやすく評価できます。Webサイトのターゲットが工事業者など床のプロならば、製品情報に加え施工方法や施工性の良さをアピールするコンテンツが必要になってきます。そしてエンドユーザーもターゲットにするなら、製品知識が全くなくても自分に合った塗床材が選べるよう配慮した困りごと起点のコンテンツが必要です。
株式会社住ゴム産業
診断URL:http://www.gripcoat.jp/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。第一印象だと紙ベースの資料をそのままWebサイトに移植したように感じました。
個別に見ると良いところもあるのですが、Web上ではとても読みづらく感じました。私と同じように感じる人も多いと思います。典型的なのは【耐薬品性一覧】【施工例】【価格表】の3つ。PDFでも見られるようにはなっているのですが、PDFも読みにくかったです。Web上に配置するには工夫が必要です。Webサイトの制作コストや工数ではカタログPDFを置いておくのが正解でも、読んでもらえなければ意味がありません。ストレスなく見られる形にデザインし直すことをお勧めします。またグローバルメニューが9つと多すぎることもユーザビリティーを下げています。カタログや会社案内をWebサイトに利用するときは、Webに合わせて最適化したデザイン・レイアウトを新たに組む必要があります。言い古された表現ですが、紙とWebは違うのです。紙のものをそのまま使うのは危険です。更新も2016年以降されておらず、もしかしたらWebサイトはビジネス上重要な位置を占めていないのかもしれません。
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Webサイト診断※本資料では、執筆者宮本が特に気になった5社のWebサイトを対象に診断を行っています。
※Webサイト調査時の検索順位を元に上位順に紹介しています。
執筆者紹介
宮本栄治(株式会社コスモブレインズ取締役)
「これまでの経験を活かし第一印象からWebサイトを診断しました。個人の主観による診断ではありますが、成果を上げるホームページ、失敗するホームページには共通点があるものです。
対象企業すべてのホームページを比較したうえで、各ホームページ問題点を1点取り上げさせていただきました。」
《個人ブログ》「製造業のWebマーケティング」URL:https://eijimiyamoto01.blogspot.jp/