Webサイトの評価には、アクセス数などの客観的な指標だけでなく「実際にWebサイトを訪れたユーザーがどのように感じるのか」という主観的な評価も重要です。この資料では、製造業専門Webマーケティングコンサルタントの視点から、各企業のWebサイトを主観的に評価しコメントしています。業界内では得ることが難しい第三者の意見として、Webサイトの改善にお役立ていただければ幸いです。
診断日:2019年12月
ダコタ・ジャパン株式会社
診断URL:https://www.dakotajapan.com/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。
専門性の高さが光るサイトです。技術情報が充実しており好感が持てます。「用途」や「測定原理」、「よくある質問」、「ビデオギャラリー」など良い情報提供ができています。少しもったいないのは良いコンテンツが階層の深いところにあり見つけにくいことです。それによってせっかくの情報があまり見られていないかもしれません。それから【会社案内】の中にある「No.1宣言(強みと特徴)」もすごくよく作りこまれていて学ぶべき点の多いページなのですが、残念なことに情報が古すぎます。
2012-13年版のままで、そこで成長が止まったように見えてしまいかえってマイナスの印象を持ってしまいました。このページで宣言していることは素晴らしいので、とくに保証についてはサポートと合わせてページを作り、グローバルメニューに追加することをお勧めします。
それからブログも2015年で更新が止まってしまっています。公開後の運営方針と体制づくりが課題だと思います。Webサイトは公開よりも公開後の運営が肝。持続可能な運営の仕組みを作ることをお勧めします。
ダイヤ電子応用株式会社
診断URL:https://www.dia-elec.com/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。
2019年7月30日にリニューアルしたばかりのサイトです。しかし、デザインなどは大幅に変わっていますがコンテンツ自体はほとんど変わっておらずもったいない。
製品を探すための切り口は4つ用意されていてよく考えられています。特に【用途から探す】がよくできていました。
一般的に用途から探す切り口はうまく作れていないサイトが多いのですが、このサイトは「何の傷を見たいのか?」という視点でまとめられておりユーザー視点で使いやすかったです。しかし、ここまで丁寧に製品を探すナビゲーションがいるのか?正直疑問です。10ジャンル78アイテムを探すのにここまで多くの切り口を用意しなくても・・・と感じてしまいました。どこから探しても結局は製品情報に行き着くだけ。それならばサポートや事例、技術情報などコンテンツに厚みを持たせたほうがユーザー満足度は上がります。サイトの作りは間違いなくハイレベルなだけに本質である中身が気になってしまいました。超音波探傷は、非常に専門性の高い検査方法です。適切な知識および技能が必要なはず。製品情報以外の情報提供がこのサイトにも必要だと思います。
ポニー工業株式会社
診断URL:https://www.ponyindustry.co.jp/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。
デザインが良く、コンテンツも考えられています。悪いところはないのですが、不思議としっくりきません。これまでに見たサイトとは何となく違うのです。「ちゃんとした会社」「ここなら安心」「立派な会社」というイメージを伝えたいサイトなのかもしれません。製品・サービスや会社を知って欲しいというよりも、会社の格にふさわしいサイトにしたいということなのかもしれません。でも、優等生過ぎて面白みを感じないのです。何か1つ尖がったコンテンツを作ることが課題かもしれません。選ばれる理由(独自性)でも良いし、専門性の高い業界なので、技術情報と校正・修理をはじめとしたサポート情報でも良いかもしれません。それとも放射線計測かもしれません。どこか1つ集中してメリハリをつけるとガラッと印象が変わると思います。そつがないけど没個性に見え、ユーザーにメッセージが伝えられていないように感じました。
Webサイトで「誰」に「何」を伝えたいのか?何を約束するのか?根本的な部分を突き詰めたほうが良いかもしれません。最後にとても小さなことですが、TOPページの”RI取扱いに関する公開情報”はIRの間違いではないでしょうか?訂正することをお勧めします。
エフティーエス株式会社
診断URL:http://www.fts-web.jp/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。
製品情報を中心によくまとまっています。製品から問い合わせまでの導線に無駄がなくシンプルです。しかし、新しく加えた【Webショップ】が効果的に使えていません。掲載商品が1つしかないので、これなら製品ページに注文用紙を用意すれば良いだけです。コンテンツを追加するなら製品情報以外に厚みを持たせることをお勧めします。例えば、修理や校正、カタログや取扱説明書などのダウンロードサービス、技術情報や事例紹介など、厚みのある情報を提供し十分な検討材料を提供することでさらにレベルの高いサイトにできると思います。また「デモ機貸し出し」については対象機種や条件などを詳しく説明したほうが親切です。複数のゴールを用意されていますが、それぞれのゴールごとにユーザーが何に躊躇しているのか?何を知りたがっているのか?推測して適切なコンテンツを用意することをお勧めします。
一般論として(このサイトのことではありませんが)情報を与え過ぎないことで問い合わせを増やすという考えは独占企業にしか通用しません。できるだけ丁寧に情報公開することをお勧めします。
太陽物産株式会社
診断URL:http://taiyo-qc.com/
●診断内容
この診断ではWebサイトを見た第一印象から特に気になった点に絞り述べさせていただきます。
“私たちは非破壊検査機器の総合商社です” とてもわかりやすいキャッチコピーで好感が持てます。商社だから幅広く関連商品を紹介するという潔さが使い勝手の良いサイトにしています。何がしたいのか?何を伝えたいのか?を考え余計なものをそぎ落としたからこその分かりやすさです。個人的に好みのサイトですが、本当にもったいなく不思議なことがあります。それはサイトにゴールがないこと。商社のWebサイトならばリード獲得をもっと前面に出すのが定石。なのに・・・お問い合わせフォームが見当たらないのです。見つけられていないだけかも・・・と不安になって何度も探したくらいです。数多くある取扱製品を見てもらったら「お問い合わせ」「見積もり依頼」「デモ機貸し出し」など営業につなげるためのサイトゴールを用意しない手はありません。電話に頼りすぎているのです。電話が面倒なユーザーへの配慮が必要です。
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Webサイト診断※本資料では、執筆者宮本が特に気になった5社のWebサイトを対象に診断を行っています。
※Webサイト調査時の検索順位を元に上位順に紹介しています。
執筆者紹介
宮本栄治(株式会社コスモブレインズ取締役)
「これまでの経験を活かし第一印象からWebサイトを診断しました。個人の主観による診断ではありますが、成果を上げるサイト、失敗するサイトには共通点があるものです。
対象企業すべてのサイトを比較したうえで、各サイト問題点を1点取り上げさせていただきました。」
《個人ブログ》「製造業のWebマーケティング」URL:https://eijimiyamoto01.blogspot.jp/